また心電図の話
最近、新規開業の噂を小耳に挟みました。 この不況のご時世に、しかも医療崩壊の原因になってる異常に抑制された診療報酬の下で、どうやって事業計画を立ててるのか? とっても不思議だったりしますが。ひょっとして、資産家の息子が道楽と税金対策で始めるんでしょうか? いや、ほんと、よほどの事が無い限り、投資しても回収は無理ですよ。
以前にも心電図の診療報酬の話を書きましたが、今度は据え置き型の心電計を参考に採算性を計算してみましょう。
心電計なんて、もう特に進化も無く、医療機関を始め健診センターなど、どこにでも普及してる医療機器ですが。それでも値段は1台30万円以上します。一方、心電図の診療報酬は1500円です。健康診断に組み込まれている心電図に係る報酬も、同程度と考えていいでしょう。保険や健診など全て含めて、1年にどれだけ心電図をとるかと言うと、(もちろん、医療機関の性質によって数は全く変わってくると思いますが。当院の場合は)おおよそ60件くらいです。元々検査は少ないのですが、名古屋市の成人基本検診から心電図が外れた事で、さらに以前よりも減りました。
心電図を取るのに掛かる人件費などの諸経費を500円と見積もって差し引いて計算すると、(1500円−500円)×60件=60,000円/年。 → 30万円÷6万円/年=5年。つまり、このペースで取り続けて、5年でようやく元が取れる計算になります。それまでは、ずーっと只働きです。
今はどの医療行為も、採算性は同じくらいです。これで成り立つためには、医療設備を整える資金とは別に、5年分の運転資金も事前に用意しておかないとダメッてことですわ。5年分って言うと? 月に200万円×12ヶ月×5年=12,000万円。医療設備を買い揃えるにも同じくらい掛かりますので・・・開業には2億以上が必要って計算になります。それだけあって、ようやく5年後のスタートラインに立てる。さもないと、途中で資金がショートして終了。
スタートラインに立ってから2億の回収が始まりますが、非常に順調に回収できても10年。つまり、開業から15年続けて、ようやく投資した金額とイーブンになる。自分が生活していくためのお金とか、その他もろもろを考慮すると、もっと効率は悪い。
特に後半は非常に大ざっぱな計算になってますが、あながち間違ってないと思います。先代が開業して、借金完済するまでが約20年でした。およそ45歳で開業して、借金完済は65歳。←10年前、まだ医療費抑制政策が始まる前の話です。
今だったら、30〜40年かかるかなぁ。40歳で開業しても、70〜80歳ですよ。寿命と天秤にかけて、どちらが先か・・・。と、それ以前に、5年分の運転資金も確保せず医療コンサルティングにそそのかされて開業しちゃった人とか、志し半ばで撤退するパターンがこれから増えるんじゃないでしょうか。
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